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2017.03.26

[009] デザイナーと思想家が語る『攻殻機動隊』

takemitsuan

デザイナー(タケミツアン)と思想家(takeru)が
サブカルチャーについてカジュアルに話します。
Podcastで配信中です。

takeru

4月7日に公開される映画『GHOST IN THE SHELL』
今回は、その大本である『攻殻機動隊』について。

デザイナーのタケミツアンが”攻殻機動隊が流行った理由”という流動的な部分。
思想家のtakeruが”機械化されていく人間・人間化されていく機械”という作品の普遍的な部分。
それぞれが感じている面白さについて二部構成で話しています。

そもそも、攻殻機動隊とは

GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊

簡単に説明すると、今より数十年後の技術が発達し体までサイボーグ化されるような時代に、草薙素子率いる公安9課が犯罪を解決してくストーリーです。SFアニメの金字塔と言われてるね。

すごくざっくりいうと刑事モノにあたるのかな

そうだね。ただ、本質はそこではなく……

作品のなかに大きなテーマがあって、人間とは何なのか、人間と機械の違いは何なのかという哲学的な要素が含まれています。

物語の概要については別で調べていただくとして、banzoku.comではこういうところを気にとめながら見ると面白いという部分を各々解説していきます。

デザイナーがみる攻殻機動隊

攻殻機動隊がとても流行った理由は、当時の時代背景や圧倒的な未来感というのが要因の一つだと思うんだよね。
takeruさんが喋っているような哲学的な部分も、もちろんあるんだけど。

いまほどインターネットが発達していない時代に、あそこまでネットや電子の世界、未来感についての予測が描かれている。
当時の視聴者の未来に対する希望やワクワク感がある。

希望でもあり、警鐘でもあるよね。

我々の未来はこういう風になるのかもしれないという夢があったよね。
これがインターネット黎明期に描かれていたというのは本当に凄い。

serial experiments lain Blu-ray BOX

同じような時代に流行ったアニメ『Serial experiments lain』もあるよね。

そして、アニメ『PSYCHO-PASS』が流行りきらなかった原因もそこにあると思っていて。
テーマの違いはあると思うんだけど、放送された時代の差も大きい気がする。
サイコパスで描かれている未来の技術は、今の技術の延長線上で描かれているものが多くて、視聴者が予測しうる範囲にとどまっているものが多くて、当時の攻殻機動隊ほど驚きがなかった気がする。

#1 犯罪係数

サイコパスが攻殻機動隊の焼き直しに感じてしまったのも要因だと思う。
サイコパスのエンディングって映画『マトリックス』のエンディングに近いんだけど、そのマトリックスは攻殻機動隊から影響を受けている部分が多々あるんだよね。
それが攻殻機動隊が金字塔と言われる所以なんだけど……

最初からあんな作り込まれたものを出されると、その後の作品で新たにできることも少ないよね。

そして、逆に攻殻機動隊が追いつけてない、今の時代に追いついていない部分もすごく面白い。

例えば?

作品で携帯電話(ガラケー)を使うんだよね。

電子の世界については、技術的に先見性があるものや未来感があるものが多い。
でも、当時実際に使われていた物質的なものに関しては、そのときのものをベースに描かれている場合が多い。

データの持ち出しに、大きなフロッピーディスクみたいなものが使われていたり、タクシーでも紙幣を使ったり。

デザイン的にも明朝体などが多く使われていて、いまの風潮とは違っている。(UIも複雑なものが多いです。)

そういう意味で参考になるのはアニメ『アルノドア・ゼロ』で、現代の流れをベースにした未来感のある世界が描かれています。

この辺りの現在を見据えているSF的な部分と、アナログ部分での今とのギャップを意識して視聴するのも面白いと思います。

今になって感じる面白さがある。

逆に、いま視聴して感じるギャップは当時は視聴したときには違和感がなかったはずだから、リアルタイムで見ていた人でも新しい発見があると思う。

ただ、イノセンスについては(難解すぎて)今見ても訳が分かんないと思う(笑)

攻殻機動隊『無印』と『ARISE』の違い

攻殻機動隊ARISE PYROPHORIC CULT

攻殻機動隊は大好きだし、冲方丁さんも大好きなんだけど、『攻殻機動隊 ARISE』はダメだと思う……

え!なんで?

ARISE以外の作品は、草薙素子やバトーが全身義体という特徴を持ちながら、とても人間らしく描かれている。
そして、人間として描かれている部分と機械として描かれている部分がハッキリと分かれているよね。
日常パートで皮肉やブラックジョークを使ったり。

でもARISEに関しては、日常会話で、今までのシリーズだったら皮肉を言っていたであろう部分で拳が飛んでくる。
「人間らしさ」と「機械らしさ」の部分が逆になっていて、すごく薄っぺらく感じてしまうんですよ

言うねぇ!

これは僕が好きな攻殻機隊のそういう部分がごっそり削られてしまったから感じてるんだと思うんだけど……
とってつけたかのようなおしゃれ

ARISE自体が、公安9課結成前の話で、草薙素子が尖っていた時代だから、わざと人間らしさを薄めに描いているとは思う。
とはいえ、以前の人間らしい描写が気に入っていた人には、物足りなさを感じてしまうかもしれないね。

攻殻機動隊の本質、タチコマ

超合金 電脳超合金タチコマ

攻殻機動隊の先見性もすごいけど、エンターテイメント性もすごいよね。
作中でオペレーターの手が拡張されて普通にキーボードをタイピングしてるけど……
脳内での会話とかプラグを首の後ろに接続すれば自身がネットに入れる技術あるんだから本来は必要がないよね。
だけどそれを絵でみせることで、未来感やエンターテイメント色をうまく表しているよね。

確かに

攻殻機動隊シリーズのなかで一番最初に見たのは、押井守監督の『イノセンス』。
もちろん、続編だから分からなかったという部分もあるんだけど、台詞が全部難かった。
六割くらいが哲学者や小説家などの引用なんじゃないかっていう……

アニメでも多くはないけど引用が入るもんね……
そして、そもそもの会話も視聴者が設定を知っている前提で話が進んでいくよね。

中身がありすぎて、”ながら見”ができない作品だよね。

普通のテンションで重要な会話をしているよね。

その一番分かりやすい例が『タチコマ』の存在。
自立思考型多脚戦車、簡単にいうとAIを搭載した”喋る戦車”なんだけど、自分で学習して、それぞれの経験を他のタチコマと共有して育っていくんだよね。
子供みたいな高い声で喋るんだけど可愛いよね。

たぶん、アニメを見たことがない人でも、どこかで目にしたことがあると思う。

やりとりだけ見ていると本当にただの子供なんだけど、成長していくなかで自分で思考し始める。
自分は機械だから死の概念はないんだけど、死を味わうにはどうしたらいいのか……
みたいな内容を、可愛らしい声と言い回しで会話してるんだよね。
こいつらヤバいな……ってレベルで(笑)

多分、作品のテーマを一番だしているのはタチコマだと思う。
作中でゴーストっていう”人間を人間足らしめている何か”について語られるシーンが多々あるんだけど、タチコマがどんどんゴーストを獲得していってるんじゃないかという場面では、ただただ涙ですよ。
子供が育っていってる感覚に近い。

攻殻機動隊シリーズを見始めるならどれがオススメ?

東のエデン 劇場版I The King of Eden

攻殻機動隊の世界観は、同じ作者が同じ世界観で別の作品を描いてる場合が結構ある。
『アップルシード』をはじめとして、『東のエデン』や『神霊狩/GHOST HOUND』『RD 潜脳調査室』とか……
同じ世界観だから、どれも面白い。

前提としての設定や雰囲気が分かっているから、物語に集中しやすいっていうのもあるかもね。

ところで、攻殻機動隊シリーズをまだ見ていない人はどこから見るべきだと思う?

アニメの一期、『STAND ALINE COMPLEX』かな?

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Blu-ray Disc BOX:SPECIAL EDITION (特装限定版)

完全に同意。
笑い男の事件は最高だと思う。
「並列化した情報の果てにあるのは何なのか」それをぜひ注目してみてほしいね!

いまので、一気にハードルがあがっちゃった(笑)

放送の全編はこちら

takemitsuan

タケミツアン

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takeru

Twitterでポエムみたいなものを書いています。
Podcast界の哲学・思想家。
エレキベースを中心にした音楽ブログEat the Bassを運営。月間25万PVを記録。

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